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便乗して宇宙規模でスプーンを考えてみた

文章が長くなったのでここでまとめます。



きっかけはこの記事です。要約すると「惑星間移動、タイムワープなどの地球よりはるかに発達した文明において、スプーンやゼリーの存在が消滅しているという状況はあり得るのか、あるとすればどういう理由か」という思考実験です。元記事では「自然進化した生物としては存在しない。存在するとすればロボットのような、水分の摂取を必要としない存在だろう。」という結論に達しています。

私もこの手の思考実験は好きなのですが、それ以上に「理論上あり得ないとされる事象が起こったと仮定して、それを成立させる理論はどうするいうものか」を考えるのが大好きです。今回は「自然進化した生物が築いた、惑星間移動やタイムワープなどの技術を獲得し、実際に地球へ到来している異星人の文明において、スプーンやゼリー食品の存在が消滅しているという状況は、どのような理由によって生じ得るのか」を考察してみました。

筆者は生物・化学分野については高校の範囲から先は自信がありません。間違っていたらご容赦ください。またこの考察の元ネタは「ダンダダン」という漫画だそうですが、そちらは読んでいません。文脈が元ネタから乖離しているかもしれません。
ここで「自然進化した生物」とは「他の知性を備えた存在がデザインしたのではなく、ある環境下の自然の化学作用が発端となって発生した生物」とします。生物の定義は一般によく言われる「『自身と外界の明確な隔離』『自己増殖』『代謝』の能力を備えた存在」としましょう。文明の定義は……文明って何だろう……。少なくともグレイグーバイドELSみたいな感じの奴らは除外する感じでざっくり行きます。※SF作品の歴史上もっと適切な例があるとは思いますが、筆者はそこまで詳しい訳ではないのでご容赦ください。

以下、上記の条件を満たす異星人の文明において、スプーンおよびゼリーが存在しない可能性について、思いついたものを地球人類の特徴から遠い順に挙げていきます。

○スプーン

自然発生した生命体だが、生命活動を行う上で液体を必要としない

最初に思いついた可能性ですがこれは除外します。代謝や増殖の能力を備える生命体は、効率の高い化学反応を行い続ける必要があり、そのためには化学反応に使う物質を溶かして混ぜ合わせるための液体すなわち「溶媒」が必要であると想定したためです。
ちなみにこの「溶媒」は必ずしも地球型生命が用いるH_2Oである必要はなく、例えばアンモニアやメタンでも(効率で劣るかもしれないが)よい可能性はあるそうです。ただ、いずれにせよ何らかの液体は必要になると考えました。

・液体が豊富に存在する環境下で進化したため、スプーンで液体を摂取する必要が無い

個人的には有力説だと考えています。そもそもスプーンで液体を摂取する必要があるのは、身体の周囲に液体が存在しないからであり、例えば地球の海中のように液体で満たされた環境であればスプーンの必要性は皆無です。水やアンモニアの海、あるいはメタンの大気中で知性と文明を獲得した生物が、スプーンという概念を持っていなかったとしても何ら不思議ではないと筆者は考えます。おそらく液体で満たされた宇宙船で地球まではるばるやって来て、同じく液体で満たされた与圧服の中から覗き見る地球の陸上は、スプーンやゼリーに限らず何もかもが未知の存在に見えるでしょう。

・体の下側から液体を摂取するような体の構造をしている

前項とは異なり、気体中で活動する生物を想定します。またここで「下側」とは、その生物にとって無視できないスケールの重力場が存在する前提で、そのポテンシャルが小さく、摂取したい液体が凝集する傾向にある方向を指します。
例えば、地球における沼地のような環境で、トレント(樹人)のような生物が自然発生し、運動能力と知性を獲得したとしましょう。そのような生物が、進化以前から体の下側に備えている「根」から水分を吸収したとしても不思議ではありませんし、わざわざスプーンを発明するとは考えにくいです。
(一方で、このような液体と気体両方との直接接触を必要とする生物にとって、宇宙という無重力環境へ進出するに当たっては「液体を固めておく方法」が必要となるでしょう。つまりゼリーを発明する強い動機がある事になります。これに関してはゼリーの項で後述します。)

また別解として「頭部から液体を摂取するが、元々昆虫のような生物であって、直立することなく進化して知性を獲得した」というのはどうでしょうか。地球人類が知性を獲得したのは巨大な脳を獲得したおかげ。巨大な脳を保持できるようになったのは直立二足歩行を行えるようになったため……。と説明されていますが、それでは例えば昆虫が巨大化する方向に進化したらどうでしょう?脊椎動物と異なり分散型の神経網を持っているらしいので、知性の獲得に必要な巨大な神経網を体全体に分散させる形で獲得できるかもしれません。脚が6本あるので、蝿やカマキリのようにうち1対を手として用いることで、道具を扱う能力を獲得できるでしょう。そのようにして高度な知性と文明を獲得した生物が(人間がコップから水を飲む時にスプーンを使わないのと同じように)液体を器から飲む際にスプーンに相当する道具を持ち合わせなかったとしても、そう不思議ではないように思えます。

ちなみに私の記憶が正しければ、星新一のショートショートに「地球人類とそっくりだが、臀部に口、頭部に肛門を持つ異星人」の話があったかと思います。食事を摂る描写はありませんでしたが(食事の上に座るのでしょうか?)、我々の知るスプーンを使わないのであろう事は想像に難くないでしょう。

○ゼリー

次にゼリー……が存在しない理由について考える前に、そもそもゼリーとは何か確認してみましょう。我々が知るゼリー(菓子)とは、ゼラチンなどの凝固剤を熱して水と混合し、冷却してゲル化させたものです。原料となっているのは、ゼラチンは動物のコラーゲン(タンパク質)。寒天やペクチンなどは海藻や果物から採れる糖質(デンプン)だそうです。(このため、タンパク質を分解する酵素を含むパイナップルの果汁は、そのままではゼラチンで固められないらしい。言われてみれば当然で、料理をする人にとっては常識らしいですが、私は初めて知りました。)
菓子としては言うに及ばず、「水を半固形物質として取り扱える」という非常に実用的な利点も備えています。このため元記事は「宇宙において食事を摂取する目的で有用であるので、宇宙に進出する異星人が、ゼリー食品を思いつかないのはあり得ない」と考察しています。

以上を踏まえて考えついた、食品としてのゼリーが存在しない理由が以下になります。

・適切な凝固剤が存在しない

ここで言う「適切」とは「その生物が摂取する必要のある液体をゲル状に凝固させることが可能」であって「その生物が摂取可能」かつ「一般的な食品として用いることができる程度に低コストに生産可能」である事とします。
さて。必要な液体がアンモニアやメタンであった場合、そもそもそれらをゲル化させる事ができる物質とは何でしょうか?また存在したとして、それらは対象の生物が安全に摂取できるものでしょうか?
水であれば、宇宙のどこであっても地球と同じように糖類やゼラチンで固めることは可能でしょうが、これらはいずれも地球の生物に由来する物質です。別の惑星で発生した生態系における生物が、たまたま持ち合わせているのは都合が良すぎるのではないでしょうか。よしんば持ち合わせていたにしても、その生物が海藻のようにありふれた生物である保証も、凝固剤が知的生物に対して毒として作用しない保証もありません。

……こうして考えてみると、食用可能なゲルを手に入れるという事がなかなかラッキーな事のように思えてきます。しかし、本当にそうでしょうか?なぜコラーゲンや糖類を地球の生物が獲得したのかと考えると、いずれも「水を閉じ込めて体組織を構成するのに優れた特性を持っているから」ではないでしょうか?また、自身で栄養素を合成せずに他の生物を捕食する能力は生存する上で有用でしょうし、その過程で当然被食者の体組織を消化する必要が生じます。つまり異星人の生まれた生態系がどのようなものであっても、体組織を構成するために、生命活動に必要な液体の媒質をゲル化させ得る物質を作り出す生物が存在し、異星人がそれらを食す事ができる可能性はある……とも考えられます。
それを踏まえ、適切な凝固剤が存在するという前提のもとで、それらが食品として転用されなかった理由を考察しました。

・凝固剤が発見されなかった

日本における寒天やゼラチンの歴史を見てみると、寒天が発見された経緯はほとんど偶然である事、ゼラチンは煮凝り料理として食されているものの現代の(簡易な食事や水分補給を目的とした)ゼリーとは用途も何もかも異なっている事が分かります。またゼラチンのゼリーが作られ始めたのは、明治時代に西洋からレシピが伝来した以降だそうです。以上から物質として自然界に存在していたとしても、その凝固剤としての作用に気づかれぬまま宇宙開発が始まってしまう……というのも、そうあり得ない話ではないと筆者は考えます。

・食文化上、受け入れられなかった

そして仮に適切な凝固剤が発見され、それが食べられることが判明したとしても、食文化として受け入れられない可能性もあります。地球上だけでも、ある文化では普通に食されるモノが別の文化ではゲテモノ扱いされる例は数多く存在します。ましてや異星の食文化ともなれば、ゼリー状の食品がゲテモノ扱いされていたり、そもそも食べ物、あるいはもっと根本的に「日常の場面に存在する物体」として認識されていない可能性だってあるのではないでしょうか。
そんな食文化が前提にあったと仮定しましょう。例えば、異星人が忌避する何かしらの物体がゲル状の様相をしているような場合。それを連想させる「水と栄養素をゼリーにした食品」が、いかに効率が良いとしても、果たして異星人の宇宙飛行士達に受け入れられるでしょうか?地球人の立場で例えれば、仮に最高の効率を持った宇宙食が「○○○味のカレーを固形に固めたモノ」であった場合、それが受け入れられるかどうかを想像してみれば理解頂けると思います。また地球人類は「食べ物が不味いとやる気を無くす」という特徴を持ちますが、これが「より良い食物にありつく」という生物の根源的な欲求に根ざした特徴であると考えれば、異星人も同様の特徴を持っていたとしても不思議ではないのではないでしょうか。そうであれば、多少非効率であったとしても、ゼリーよりももっと宇宙飛行士達に受け入れられるような宇宙食を開発する方に注力し、結果として"効率の良い"(と考察されている)ゼリー食品が存在しない。そのため地球に降り立った異星人が、食品を食べる場に置いてあるゼリーを見て訝しんだ……という理由付けは、あり得なくはないと考えます。

結論

以上から私は「自然進化した生物が築いた、惑星間移動やタイムワープなどの技術を獲得し、実際に地球へ到来している異星人の文明において、スプーンやゼリー食品の存在が消滅しているという状況は、あり得ないとまでは言い切れない」と考えます。

おわり。
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